除草剤

プロの農家が語る除草剤の選び方

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選択性と濃度による効果の違いに注意

 芝生の除草剤では、芝生には効かなくて、他の雑草にだけ効く選択性除草剤を使います。アミノ酸系除草剤(グリホ剤)は、非選択性であるため使えません。アミノ酸除草剤の使用説明によく「1年草=200倍」「多年草=100倍」と書かれています。このためアミノ酸系除草剤(グリホ剤)を200倍で散布すれば、多年草である芝生には効かずに、1年草の雑草だけが枯れるように誤解してしまいがちです。グリホ剤はあくまで非選択性ですので注意してください。200倍の薄い濃度で芝にまいた場合、先に1年草だけが枯れて、一見選択性があるように思いますが、だいぶ後になって芝生に影響がでて、最後には枯れてしまいます。アミノ酸除草剤が薄い濃度で多年草にかかった場合、効果の出現が遅くなるけど、間違いなく効いているということです。濃度の違いにより枯れるスピードが違うことと、選択性と非選択性とは意味が違いますので、注意が必要です。

イネ科に効かないものと芝生に効かないもの

さて、前置きが長くなりましたが、芝生には、芝生用の選択性除草剤を使います。芝の選択性除草剤には、選択性の仕組みから、「芝に効かない」ものと、芝に「効きにくい」ものに分けられます。芝に効かない(イネ科に効かない)ものとしてたとえばMCPP剤(フェノキシ系)、芝に効きにくい系列とし、たとえばアージラン(成分名アシュラム、酸アミド系)があります。MCPP剤は植物ホルモンのオーキシンと同じような作用でホルモンバランスを崩すものですがイネ科に作用しません。一方アージランは細胞分裂阻害剤ですが、これはイネ科にも効きます。ただ、芝に対しては、他のイネ科の雑草よりも効果がごく微量ですので、結果として、芝以外のイネ科雑草を枯らすことができるわけです。つまり、アージランは濃度が重要で、これを間違えると芝にも影響が出るということなのです。

芝生の除草剤には、イネ科雑草がない場合はフェノキシ酸系、イネ科雑草がある場合はアージランというのが基本パターンと言えそうです。プラス、雑草発芽予防剤を組み合わせれば、効率のよい芝の雑草管理ができます。また、今後は米の除草剤として活躍しているSU剤の芝への応用が増えてきそうです。

芝生除草剤の5タイプ分類

現在よく使われる芝生用の除草剤には、

  • (1)広葉系にのみ効くフェノキシ系(商品多数)
  • (2)イネ科にも効く酸アミド系のアシュラム(=アージラン液剤)
  • (3)スルホニルウレア系=SU剤(シバゲン、インプールDFなど)
  • (4)発芽予防剤(バナフィン、テュパサン、プロジアミンなど)
  • (5)土壌処理剤=根から吸収(DCBN)
の5つの系列が主にあります。

フェノキシ系は合成植物ホルモン

芝生の除草剤として最もスタンダードでホームセンターなどでもよく目につくのが(1)のフェノキシ系です。この項ではフェノキシ系除草剤について、突っ込んでみてみましょう。

フェノキシ系の除草剤は成分名では以下のような薬があります。

    フェノキシ系除草剤成分
  • 2-4-D(または2.4-PA)
  • MCPA(またはMCPソーダ、インプロピルアミン)
  • MCPP
  • トリクロピル(またはザイトロン)
などがあります。ホームセンターなどで売られている「芝生用除草剤」のほとんどが、これらの成分だと思います。いわゆる「芝生用除草剤」はフェノキシ酸系が主流なのです。

フェノキシ酸系は「合成植物ホルモン剤」で、植物の成長に関係するオーキシンというホルモンと同様の働きをします。ホルモンバランスを狂わせて植物を枯らすのがフェノキシ系除草剤の仕組みです。

植物ホルモンといえば、「トマトトーン」というトマトやナスの着果を促進するホルモン剤がハウス栽培などで使用されていて、ホームセンターなどでも売られています。トマトトーンはパラクロロフェノキシ酢酸(4-CPA)という合成オーキシンで除草剤2-4-Dに近い物質です。

芝生除草剤といえばフェノキシ系だが

ホルモン剤は植物の生長をよくも悪くもコントロールします。たとえば、除草剤2-4-Dは、花を付ける前の若い雑草にまくときれいに枯れてくれます。しかし、大きくなって花を持っている雑草に2-4-Dをまいてもすぐ枯れません。2-4-Dがかかった育ちすぎの雑草は、枯れないかわりに、茎の上から下まで短いヒゲ根が無数に生えて、気持ち悪い状態になります。ようするにホルモンバランスが崩れて成長が狂ってしまって奇形化するのです。

フェノキシ系除草剤は、植物ホルモン剤のトマトトーンと同様な成分と思うと好意印象ですが、一度,雑草が奇形化するのを見てしまうとちょっと考えさせられます。人間のホルモンと関係ありませんのでホルモンだから安全とか危険とかというのはナンセンスなことなのですが・・・・。このフェノキシ酸系のなかの2-4-T という薬が枯れ葉剤としてベトナム戦争で使われていて、フェノキシ酸系の発ガン性や人畜の催奇性が疑われているのも事実です。

いわゆるフェノキシ系の除草剤は、環境に優しいと言われるアミノ酸系などに比べると、「環境に優しい」と言い切れないのかもしれません。

広葉系対象の選択性除草剤

ホームセンターなどで販売されている一般向けの「芝生の除草剤」の成分を見てみましょう。MCPA(またはMCPソーダ、インプロピルアミン)MCPP、トリクロピル(またはザイトロン)、2-4-D(または2.4-PA)などを原料にしているものが多く目につきます。これらはフェノキシ酸と呼ばれる合成植物ホルモン剤です。

芝生除草剤ということは、芝生には効かずに雑草だけが枯れるという意味ですが、フェノキシ酸系は芝生を含め全てのイネ科植物には作用しない選択性除草剤です。芝生に生えたイネ科以外の雑草対策には、フェノキシ酸系除草剤が便利です。芝生への影響が全くありませんので、芝生のことを気にせず雑草退治ができます。ただし、フェノキ酸が効果がある草はキク科やマメ科目の1年草の広葉系雑草だけです。

また(ほんとうのところははっきりわかりませんが)発ガン性や残留性についてなんやかんや言われることが多いのもこのフェノキシ系列の除草剤です。ですので、家庭の芝生管理などの場合、わざわざフェノキシ酸系除草剤を使う必要が、ほんとうにあるのか?ちょっと考えてみましょう

そもそもフェノキシ系除草剤は、広葉系の草だけに効くものです。イネ科の雑草には効果がありません。実は、広葉系の雑草は、管理された芝生のターフの中では、それほど問題にならないと思います。たとえ管理をしていなくて、広葉系の雑草が増えてしまったとしても、除草剤に頼る前に、まず草刈りをすることをおすすめします。広葉系雑草はたいてい柔らかいので、草刈りの邪魔をあまりしません。

草刈りをして半月〜1カ月、残っている根っこや茎から、ふたたび広葉系雑草が復活します。その時、ヒマをみて手で根っこごととってしまいましょう。慣れると、広葉系雑草の草むしりは思っていた以上に成果をあげます。「やってみたら草むしりも案外楽だった」ってことなら、わざわざ除草剤を使わなくてすむわけですから。もっとも確実な除草法は「手で根こそぎとる」ことなのです。

草刈り草むしりに学ぶ除草剤の必要最小限の使い方

除草剤を使う前に、「除草剤が絶対必要か?無くてもなんとかなるか?」を判断することが大切です。雑草の多さや種類を見て、「この程度なら草むしりでいける!」「この草には手取り除草では気が遠くなる・・」「この草はイモを作るので手取り除草は無理」などなど、草むしりで充分対応きるのか、もう除草剤でないと手に負えないのか、見極めることが大事なのです。雑草の種類や生え方やタイミングによっては、無駄に除草剤に頼ることになります。見極める判断基準を自分なりに身につけるためにも、とにかく一度は手取り除草に挑戦してみることです。たまに手で草むしりをして、定期的に機械で草刈りをしていれば、広葉系雑草はそれほど問題にならないことが多いと思います。ですので、広葉系にしか効かないフェノキシ酸系をわざわざ小面積の芝生に使う必要があるのかなぁ?と思ってしまうわけです。

まめな草刈りをやっていても、どうしても勢いが衰えない雑草は、宿根性の雑草だということがわかります。これらは、地下茎からどんどん出てきますので、手取り除草が事実上不可能です。宿根性の雑草のイネ科のチガヤとかスズメノカタビラなどカヤツリグサ科のハマスゲなどが、芝刈り管理をしていても問題になるほんとうの雑草です。で、こういう宿根性の雑草退治にはフェノキシ系は向いていなのです。かといって、もちろん手取りは不可能ですし。そう考えると、芝生にほんとうに必要な除草剤は、イネ科やカヤツリ草に効果がある除草剤だ、となります。

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◯より専門的な情報は以下のサイトより
植物調節剤研究会
農水省の農薬のコーナー・除草剤が正しく登録されているかチェック
農薬ネット・有名な農薬掲示板があるサイトです
グリーンジャパン・トップ→農薬情報→除草剤で
雑草図鑑・JA全農の雑草図鑑。除草剤情報はごく一部のみ掲載
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